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ベネチア製の、斑点（アイ）をもつオッキオ・ビーズ（イタリア語で目の意）2つで、いずれもアフリカ交易ビーズです。バラのモチーフなどフィオーレ（花模様の意）と同様に、ファンシー・ビーズに分類されます。　赤色の胎に白のアイが多数貼り付けられたビーズは、別名、スカンクと呼ばれ、黒の胎に白の斑点ビーズを本来は指し、黒の毛皮に白の斑点紋（縞でなく）をもつ北中米の小型動物スカンクに由来し、18Cから20Cまで制作されました。薄赤色の本品は、十数年前にエチオピア、アディス・アベバの中央市場で入手しました。　芯をなすセミ・クリアな白ガラスは厚めで、厚めの芯にクリアな薄赤紫ガラスが巻かれ、穿孔面近くでは巻跡が少し盛り上がって残されています。胎表面は滑らかでクリアな薄赤紫は、芯と胎の白を映し風格ある美しさをかもし出し、胎に残る多くの比較的大きな気泡は、巻き製法による制作のため横に細長く伸びています。　18C～20C制作とされる赤いスカンクのうち、芯の白ガラスが厚めで穿孔面にはっきりと残る本品は、早期に制作された古い型で、薄赤紫ガラスに残る大きな気泡がその証です。高温状態でガラス製造とビーズ制作ができなかった経緯を示します。　もう1つの細長楕円型のオッキオ、黒の胎に多数のアイのスカンクでは、白の保護円盤のなかに瞳が、クリアな薄いピンクか濃紺で小さく施されています。赤いスカンクの類例、黒の胎に白のスカンクで保護円盤と瞳に用いられた、薄いピンクと濃紺のガラスが本品でも用いられています。1800年代後期～1900年代初頭の制作ですので、古い型の赤いスカンクの製造時期に該当し、同種ガラスが使用されたことも納得できます。　細長い黒のオッキオでは、多数のオッキオ（アイ）だけでなく、上下に不透明黄の冠を付け、凝った構想のビーズとなっています。研究書PicardのVI―and Fancy Beadsには、赤や黒のオッキオは記載されていますが、細長胎で上下に冠のファンシーの記載は無く、本品は希少なビーズです。　ベネチア製の交易ビーズ本品2つは、クリア薄赤紫と白の美しい色合い、また、凝ったモチーフが希少な美ビーズというだけでなく、ほぼ同時期に制作された交易ビーズに、共通ガラスをベネチアが使用していたことも教えてくれます。　サイズ　赤　高さ　約11㍉　幅　約11.5㍉　孔径　約3㍉